ストレスとは

ストレスとはと聞かれるとなかなか難しいはなしになりますが、実は皆さんが考えているものは少し間違っています。

多くの方は自分にとって辛いと感じる外的要因と考えてしまいがちですが、正確には辛いと感じる外的要因はメンタルケアの世界ではストレッサーと言います。動物に例えるなら外的に襲われそうになった場合、その外敵に対して攻撃を仕掛ける(闘争)か猛スピードで逃げ出す(逃走)か、どちらかを選択し実行する際に交感神経が優位になります。交感神経が活性化すると、心拍数や呼吸数が増加しエネルギーが必要ですが、攻撃しながらや逃げながら何かを食べて栄養を摂取することは難しく、摂取した食物は時間をかけて消化分解した後でなければエネルギーとして使うことはできないため、予め蓄えておいた糖分や脂肪を分解して使います。これはダイエットにも大きく関係する話なのでまた後述します。

このような緊急事態を含む、個人が何らかの対処をしなければならないような環境の変化はストレスの原因、いわゆるストレッサーであり、ストレッサーによって引き起こされる体内の変化(交感神経の活性化など)がストレス反応ということになります。

よく人間の精神状態はゴムボールに例えられるのですが、ボールを変形させようとする力をストレッサーといい、その力に対して形を保とうとする力のことがストレス反応です。大きなストレッサーが掛かることが身体に影響を及ぼすのではなくそのストレッサーから心の状態を保とうとする抵抗力がストレスになるのです。柔らかいボールであれば強い圧力が加わっても変形し破裂するのを防げますが、固いボールであれば強い圧力がかかると変形しにくい反面破裂するリスクが高くなります。つまり、より真面目で負けず嫌いで正義感が強いというといった自分を強く持っている方ほどある意味でストレスによって身体に悪影響が出やすいという特徴を持っています。ストレス反応の影響は筋肉、骨格、内臓、神経、血管と多岐に渡ることが判明しているため、例えば胃に痛みを感じる人、じんましんなどの皮膚に影響が出る人など様々です。また、交感神経すなわち自律神経は背骨の両側を頭の付け根から尾骨まで縦に伸びている神経であるため、首や肩・背中に強い張りや痛みを感じることにつながります。つまりこれが精神的ストレスによる肩の張りの原因です。

緊急事態に対処するために交感神経が活性化された状態が続くとエネルギーの消費が続き、体は消耗されてしまいます。そこで今度は副交感神経を活性化させてエネルギーを補給し、睡眠で身体を休ませる必要があります。副交感神経が優位になると消化器が活性化しますが、これは消費したエネルギーを飲食・消化・吸収によって補給するためです。そして副交感神経が優位になると眠気も発生しますが、これも疲労した筋肉などを十分に休養させようとするための生理現象です。交感神経が優位になり続けても副交感神経が優位になり続けても身体には影響が出る為、バランスが必要です。自律神経のバランスを整えるのはやはり基本的な食事・睡眠・運動です。また適度なストレスは身体を覚醒させる効果がある為部屋にこもってじっとしていると副交感神経が優位になり過ぎてやる気がなくなったりだるくて動きたくなくなったりして運動不足を招いて筋肉が低下するという悪循環につながります。