◎精神的ストレスによる張り
最後のひとつはあまり知られておらず、同業者でも知らない方も多いですがいわゆるストレスからくる張りです。
前述した筋肉の緊張を肉体的ストレスというならばこちらは精神的ストレスによる緊張です。ストレスについては後述しますが、精神的ストレスからくる肩の張りはいわゆる肩こりとして認識されている場合が非常に多いです。ほとんどの場合は首から腰にかけての背骨の際に硬化が見られますが、これも肩こりと共通する場所なので一見すると肩こりと見分けるのが難しいですが、一方で張る場所には個人差があり、原因の特定も対処もなかなか困難です。
ストレスからくる肩の張りには特徴があり、皮膚に近い浅い部分が板のように硬化してしまいます。これを筋膜の硬化と呼んでいますが、強いストレスがある時などは、特に自律神経が通る首や肩甲骨、背中、腰の辺りが急激に固くなり血流が悪くなることで頭痛などを引き起こすこともあります。
これはストレスから身体を守る為の防衛機能によるものです。外部からのストレス要因(ストレッサー)からに対して、自律神経の交感神経を優位に働かせる状態が長く続くことが原因なので首から腰までの自律神経が通る背骨の際が身を守るために硬化します。リラックスして副交感神経を優位に働かせることが必要になります。また、身体を動かし固まってしまっている筋膜を柔らかくすることが大切なので、こちらも肩こり同様運動がとても重要になります。適度な温度のお風呂でゆっくりと温まってリラックスしたり、暖かい布団でゆっくり休むなどもとても効果的です。しかし、副交感神経が優位な状態が続くとやる気が出ないとかだるいといった別の病の原因になることもある為、交感神経と副交感神経はメリハリをつけてバランスよく働かせる必要があります。日中は身体を動かし活発に活動し、夜になったらゆっくり休むという生活リズムがとても大切です。また、肉体的ストレスと精神的ストレスは関連性が強い為、どちらかが原因で張ってきてももう一方の緊張も起こってしまいます。肩こりにおけるストレス要因は基本的に一過性のものではなく毎日の積み重ねによって蓄積されている場合が多い為、両方のストレスが原因で張っている方が実際のところは一番多いのが現状です。ですからあまり長い時間我慢せずに定期的に身体を動かしてストレスを解消したり、揉み解して血行を良くしておくことがとても大切です。疲労や緊張は蓄積されていくこと、その蓄積がのちの大きな痛みや病気の原因になる可能性があることを覚えておいてください。
自分の身体の痛みの原因つまり肩こりの正体を理解し、そのうえで適切な対処をすることが肩こり解消の第一歩です。
肩こりは自覚症状がある方と無い方がいます。『私は全く肩こらない』と言う方もたくさんおられますが、そういう方でも実際に触ってみると普段から肩こりで悩んでおられる方よりガチガチになってしまっているという方も結構多いです。こういう個人差が生まれる原因ははっきりしていませんが、自覚症状があるにしろ、無いにしろ同じように肩回りが固いということは筋肉の一種である血管も固くなっている状態です。血管が固くなれば血流が悪くなり、頭痛や吐き気、めまいなどの原因になりさらにひどくなると動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞などの原因につながります。身体を動かし筋肉を伸縮させたり、自律神経の切り替えをスムーズにするため規則正しい生活を送ることで血管も柔らかい状態になり大きな病気の予防になります。